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Commentary
歌川国芳「金魚づくし 酒のざしき」
「金魚づくし」は、歌川国芳が金魚に人のしぐさをさせ、江戸の夏の遊びや風俗を演じさせた中判錦絵の揃物です。本図はそのうちの「酒のざしき」で、座敷での酒宴を水の中の金魚たちに置き換えて描いています。
揃物について
揃物は長く8図が知られていましたが、のちにイタリアで「きん魚づくし ぼんぼん」が見つかり、現在は9図が確認されています。題は「百ものがたり」「さらいとんび」「玉や玉や」「酒のざしき」「まとい」「にはかあめんぼう」「すさのおのみこと」「いかだのり」「ぼんぼん」です。
描かれているもの
画面には、盃に口をつける金魚、浮草の葉を両手に掲げて踊る金魚、黄色い花をつけた水草の茎を手に踊る金魚、三味線を構える金魚が集い、左右には蛙も一匹ずつ加わっています。右下には大きな徳利と、赤く細かなものを盛った肴の皿が置かれています。この赤いものは、金魚の餌になる小さな虫を描いたものとみられます。左上の題箋も、浮草と小さな黄色い花で縁取られています。
構図と技法
赤と白の斑をもつ金魚の体を、輪郭線と色の面で簡潔に描き分けています。ひれは、人の手足の役目を果たしています。淡い水色の地の上端には藍のぼかしが入ります。
制作の背景
江戸時代後期には金魚の飼育が町人の間にも広まり、夏には金魚売りが町を回りました。版元は村田屋治郎兵衛とする説があります。



