
美術館の解説や図録、当店の作品解説で出てくる言葉を、五つのまとまりに分けて短く説明しました。気になる言葉を探すときにお使いください。
つくる人としくみ
- 版元はんもと
- 錦絵や絵本を企画・出版・販売した出版元。絵師や職人への依頼、検閲の手続き、版木の管理まで担った。
- 地本問屋じほんどんや
- 江戸で娯楽向けの絵入り本や錦絵を出版・販売した問屋。書物問屋とは別の組合をつくった。
- 絵師えし
- 版下絵を描き、色を指定する絵描き。
- 彫師ほりし
- 版下絵をもとに版木を彫る職人。
- 摺師すりし
- 版木に絵具をのせ、和紙に摺る職人。
- 版下絵はんしたえ
- 絵師が描く墨線だけの下絵。版木に裏返しに貼って彫るため、ふつうは残らない。
- 主版おもはん
- 輪郭線を彫った基本の版。墨板とも。
- 校合摺きょうごうずり
- 主版から試しに摺ったもの。絵師がここに色の指定を書き込む。
- 色板いろいた
- 色ごとに彫られた版木。
- 見当けんとう
- 色の版を正確に重ねるため、版木に彫られた紙の位置合わせの目印。
- 馬連ばれん
- 紙の裏からこすって摺るための道具。
- 初摺しょずり
- 最初に摺られた一杯(およそ二百枚)。絵師の指示がよく反映されているとされる。
- 後摺あとずり
- 評判を受けて摺り増したもの。色の変更や、版木の摩耗による線の甘さが見られることがある。
かたち
- 大判おおばん
- 約39×26.5cm。大奉書の二つ切りで、もっとも作例の多い判型。
- 中判ちゅうばん
- 大判の半分の大きさ。
- 間判あいばん
- 約33×23cm。小奉書の二つ切り。
- 細判ほそばん
- 約33×15cmの細長い判型。
- 大短冊おおたんざく
- 約39×18cm。大奉書の縦三つ切り。
- 三枚続さんまいつづき
- 大判を三枚つないで一つの画面にした形式。
- 竪絵・横絵たてえ・よこえ
- 画面を縦長に使ったもの、横長に使ったもの。
- 揃物そろいもの
- 一つの題のもとに何図も出したシリーズ。
技法と色
- 錦絵にしきえ
- 明和2年(1765)ごろに生まれた多色摺の木版画。
- 紅摺絵べにずりえ
- 錦絵以前の、紅や緑など二、三色を摺った版画。
- ぼかし
- 版木の上で水と絵具の加減を変え、色の濃淡をなめらかに摺る技法。
- 一文字ぼかしいちもんじぼかし
- 画面の上端などに水平に入れるぼかし。
- 空摺からずり
- 絵具をつけずに摺り、紙に凹凸の模様をつける技法。
- きめ出し
- 強い圧で摺って形を浮き出させる技法。空摺と区別しない説明もある。
- 雲母摺きらずり
- 雲母の粉を摺りつけて画面を光らせる技法。白・黒・紅雲母がある。
- 正面摺しょうめんずり
- 紙の表から版をこすり、光沢で文様を浮かせる技法。艶摺とも。
- 布目摺ぬのめずり
- 布を版木に貼って摺り、紙に布目を写す技法。
- 藍摺あいずり
- 藍色の濃淡だけで摺った錦絵。
- ベロ藍べろあい
- 1704年ごろベルリンでつくられた合成顔料プルシアンブルー。1830年前後から浮世絵で広く使われた。
- 露草つゆくさ
- 露草の花からとった青の色材。光に弱く、退色しやすい。
画題
- 美人画びじんが
- 女性の姿や暮らしの様子を描いた絵。
- 役者絵やくしゃえ
- 歌舞伎役者を描いた絵。役者の似顔で描くのが基本。
- 大首絵おおくびえ
- 人物の上半身や顔を大きく描いた絵。写楽や歌麿の作品で知られる。
- 名所絵めいしょえ
- 各地の名所や風景を描いた絵。
- 武者絵むしゃえ
- 合戦や武将、伝説の英雄を描いた絵。
- 戯画ぎが
- 笑いを誘う滑稽な絵。動物を人に見立てたものも多い。
- 見立絵みたてえ
- ある題材を別のものになぞらえて描く趣向の絵。
- 花鳥画かちょうが
- 花や鳥、草木を描いた絵。
- 相撲絵すもうえ
- 力士の姿や取組を描いた絵。
しるし
- 落款らっかん
- 絵師の署名と印。画号の変化から制作時期を推し量ることもできる。
- 版元印はんもといん
- 版元の屋号などを図案にした印。
- 改印あらためいん
- 出版前の検閲を通ったことを示す印。時期によって形が変わるため、年代推定の手がかりになる。
- 極印きわめいん
- 「極」の字をかたどった改印。寛政期の出版統制を受けて使われ始めた。
それぞれの言葉は、記事「一枚の浮世絵ができるまで」「浮世絵の見方」「ベロ藍の話」でもくわしく取り上げています。













